#12 もののけ姫の評価と考察 ~サンは人間なのか山犬なのか?~
こんにちは、KTです!!
1997年に公開された作品です。
宮崎駿監督が構想に16年、制作に3年かけたそうで、かけた時間に見合うとんでもなく壮大な作品です。
大好きです。
評価
【もののけ姫の評価】
★★★★★
めちゃめちゃ好きです(笑)
小さい頃から好きで何度も見たんですが、当時はなんとなく「アシタカかっこいいな~」とか「エボシ悪いやつだな~」みたいな感想しかなかったです。
でも大人になって改めて見てみると新しい感想が生まれてきて、自分の成長を感じました(笑)
改めてめっちゃ深いですねこの映画。大好きです。
皆さんも、小さいころに好きだった映画を改めて見てみてはいかがでしょうか。
新しい発見がきっとありますよ。
感想
もののけ姫は本当に壮大ですよね。見ていて思うことがありすぎてちょっと長くなってしまいました(笑)
できる限り絞って読みやすさを心がけましたが、どうでしょうか。
とりあえず今回も内容を分けて書いていきます。
とにかく壮大なテーマ
この映画は基本的に人間と自然の在り方をテーマにしています。
それも「自然を大切にしよう」というよくあるようなーマではないです。
そういえば昔何かの番組で宮崎駿監督が
「人は自然に生かされている」というようなことを語っていて、
もののけ姫ではそういうことをテーマにしているという趣旨のことをおっしゃっていたような気がします。(違ったらごめんなさい)
つまり、自然をテーマにしようと思うと、
1.「自然を大切にしよう」→人間が自然よりも上位にいる
2.「自然と共存しよう」→人間と自然が対等
3.「人間は自然に生かされている」→自然界を人間よりも上位に置いている
の3つに分けられるということです。
もののけ姫では2と3がメインテーマになっているように感じました。
これを念頭に置いて改めて映画を見てみると、
なるほど自然というのは人間にどうこうできるものではないんだなと感じます。
エボシは悪いやつ??
エボシは山を切り崩し、鉄を採掘して街タタラバを作りました。
タタラバの住人からすればエボシは恩人であり、彼らは幸せな暮らしを手に入れました。
しかし自然界からすれば大悪党です。
エボシはエボシの守るべき者たちのために懸命に生きていました。
タタラバの近辺では鉄を取りつくしてしまい、シシ神の暮らす森から鉄を取るためにシシ神殺しに加担します。
結果的にエボシはシシ神を殺し、シシ神から出てきた謎の液体が動植物問わず命を吸い取りまくりますが、エボシの取った行動は責められるものではない気がします。
自分が不老不死になるため等ではなく、タタラバの住人達の生活を守るための行動だからです。
実際に僕たちは自然を破壊しながら今の暮らしを享受していますしね。
エボシを悪とするならば、僕たちも悪ということになります。
もしかしたらエボシ自身も自分のやっていることは悪だと思っていたのかもしれませんが、自分が悪党になってでもタタラバのみんなを守りたかったのかもしれません。
そう考えるとエボシのことを責めることはできない気がします。
サンは人間?山犬?
サンは、人間が森を切り崩す際に生贄のような形で森に捧げられた少女だったようです。
山犬のモロはサンを自分の子として育て、愛情を持っていました。
モロはサンを「人間にもなれず、山犬にもなれなかった哀れな娘」と表現しましたが、果たしてそうでしょうか。
確かにかわいそうな運命を背負った子だとは思いますが、
「人間でもなく山犬でもない」
というよりは、
「人間でもあり山犬でもある」
と言う方が正しい気がします。
そういえば東京喰種でもこんなセリフがありましたね(笑)
東京喰種を読んだことがあるからこう思ったのかもしれません。
※東京喰種はヤンジャンで連載されていた漫画です。
機会があれば東京喰種の感想も書こうと思います。
興味がある方はぜひ読んでみてください。
【東京喰種1部】
↓
東京喰種トーキョーグール コミック 全14巻完結セット (ヤングジャンプコミックス)
- 作者: 石田スイ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/10/17
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
【東京喰種2部】
↓
なんにせよ、僕がサンを人間であり山犬でもあると考える理由はちゃんとあります。
サンは劇中立派な山犬としての姿を惜しみなく披露していますし、
自分のことを「私は山犬だ!!」と言い切るシーンもありました。
ですが、実は人間味あふれる描写が2つほどありました。(もっとあったらすみません)
1.アシタカの服を綺麗にたたんで、おにぎりのようなものまで綺麗に作る
アシタカを助けたサンは自身のねぐらに連れていき、寝かせます。
アシタカが目を覚ました時すでにサンたちはいませんでしたが、アシタカの横にはきれいにたたまれたアシタカの衣類と、アシタカのためにと作られたであろうおにぎりのようなものが置いてありました。
これはまるで人間の母親が息子にしてあげるような、彼女が彼氏にしてあげるようなそんな人間らしい行動のように思えます。
2.アシタカからもらった黒曜石の小刀を「きれい・・・」と言う
アシタカは自分の村を出る際にカヤという女の子から小刀をもらいます。
アシタカのことを想ってカヤがあげた小刀をサンにあげてしまったことについては皆さん思うところあるかもしれませんが、今回のところは置いておきましょう(笑)
重要なのは、サンがその小刀を見て「きれい」とつぶやいたことです。
山犬であれば人間が作り出した人工物を見て「きれい」と感じることがあるでしょうか。
普通の人間であるカヤと同じ感覚の持ち主であると考えることができます。
これらの描写から、山犬として育てられたサンにもしっかりと人間の女の子としての感覚が残っていたと推測できます。
なので、サンは「人間でもあり山犬でもある」と僕は考えます。
人間と自然が共存するには?
この作品は、サンは森に帰り、アシタカはタタラバに残る形で幕を閉じます。
サンが人間としてアシタカと共に暮らすでもなく、
アシタカがサンと共に森で暮らすでもなく、
別々の道を行きます。
タタラバのエボシは「1からやり直しだ」と言ってタタラバの再建を誓います。
結局、人間と自然が共存するためにどうすべきかという具体的な行動を描かれず、
「現時点ではそれぞれが理解し合ってそれぞれの領域で生きていくしかない」
という形でストーリーは終わります。
宮崎駿監督自身、きっとこのテーマについての答えはまだ持っていなくて、どうすれば良いと思うかを視聴者に問うているのだと思います。
自然を無視して自分勝手に文明をどんどん発展させていけばいずれ破滅が起きるでしょうし、
かと言って今の文明をすべて捨てて自然と共に生きるという選択肢も今となってはできません
この問題は簡単に答えが出るものではなく、僕たちがそれぞれ考えて自分の考えをまず持つことからスタートしましょうメッセージではないでしょうか。
まとめ
・「もののけ姫」の評価
★★★★★
・壮大なテーマに色々考えさせられる
・それぞれのキャラクターに守るべきものがあり、そのために戦う姿に胸を打たれる
・人間と自然が共存するにはどうしたらいいのか・・・。答えは分からないけど、考えるべき問題であることが提起された
・音楽もめっちゃ良い
以上、KTでした。